■概要・見所 アイヌ古式舞踊は、自然豊かな北の大地でアイヌ民族が育んできたアイヌ伝統文化です。 祭祀の祝宴やさまざまな行事に際して踊られ、独自の信仰に根ざしています。その様式には古くからこの形態をとどめているものが多くあります。特に信仰と芸能と生活が密接に結びついているところに特色があり、信仰や生活の中から生まれた舞踊性を今なお色濃く伝え、その中には舞踊の発生を考察することができる内容を含んでいて、芸能史的な価値が高いといえます。 これらの伝統歌舞は、熊送り(イオマンテ)、菱の実(ペカンペ)祭り、柳葉魚(シシャモ)祭りなどのアイヌの主要な儀式の際に踊られてきました。また、家庭における各種行事の祝宴の際にも踊られ、最近はまりも祭りなどの新しい祭りでも披露されるようになってきています。 その内容は、祭りのための酒をかもす時に歌われる「稗搗きの歌」や「ざるこしの歌」に合わせて踊る作業歌舞のようなものから、祭祀的性格の強い「剣の舞」「弓の舞」のような儀式歌舞、「鶴の舞」「バッタの舞」のような模擬舞踊、「棒踊り」「盆とり踊り」「馬追い踊り」などの娯楽舞踊、さらには「色男の舞」のような即興性を加味した舞踊があります。また、その多種多様な曲目もそれぞれのコタン(村)によって伝承曲目が異なり、さらに、その舞い方にも小異があるという特色が見られます。いずれも歌(ウポポ)を中心とし、踊りは輪舞(リムセ)を基本として構成されています。 このように本来は「見せる踊り」ではなく、楽しむ踊りでありました。しかし、最近は「アイヌ文化振興法」(1997年)の制定などもあって、アイヌ文化への関心が高まり、各種行事に招かれ、ステージなどでの公演も増えてきました。 現在、輪舞(リムセ)はスッチョチョイ(種まき踊り)、ハンロー(大地を踏みしめる踊り)など12種類、歌(ウポポ)はアーラハーオー(熊送りの歌)、アシペパルン(芦別河口の歌)など9種類の演目が伝承されています。 [保護団体]札幌ウポポ保存会 |
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